Web制作会社の「安い」「高い」の違いは何なのか
私たち制作会社の人間がお客様にもっともよく聞かれる質問の一つに「ホームページの見積もりをしてみたら驚くような安さの会社から、びっくりするくらい高い値段の会社もある。その違いは何なのか。」という質問があります。
この質問をされること自体、まだ業界が未成熟である証拠だなと感じるわけなのですが、それは置いておいて、どうして安いのか高いのかについて今回は考えてみました。
ちなみにどうして高いのか安いのかの理屈をうまく説明できない人は、業界の人でも意外と多かったりします。
目次
Web制作は何にコストがかかっているのか
Web制作に設備投資はほとんど必要ありません。制作会社を構えるオフィスに、パソコン、そしてPhotoshopなどホームページを制作するためのソフトウェアくらいしかありません。(それでもフォントなど全て完璧に揃えると結構な維持費となるのですが…)
となると何にコストがかかるのか。
正解は人件費です。
ホームページ制作のほとんどは人件費にコストがかかっています。システム会社などは人月工数で費用を算出したりしますが、ホームページも人月でコストを算出可能といえば可能です。
つまりホームページ制作は、どれくらい人件費をかけたホームページを作るかどうかで費用が大きく変わってくるのです。
人件費をかけたホームページは何が変わるのか
人件費について説明するためには、まずはホームページの制作工程をある程度理解する必要があります。細かくすると色々ありますので、今回はざっくり理解するための説明にします。
工程はざっくり3つに分割できます。
1,戦略立案
2,コンテンツ制作
3,構築
それぞれの工程で「どこまで制作会社に求めるのか」によって人件費が変わってくるというわけです。それではこれからそれぞれの工程について詳しく説明していきます。
1,戦略立案
戦略立案に含まれるものとしては、
- 市場・競合・ユーザー調査などのマーケティング
- 現行サイトの分析・解析
- コンテンツ(デザイン含む)の企画
などが挙げられます。他にもカスタマージャーニーを作るだとか様々な戦略立案に纏わるアプローチが存在しています。
最も忘れられがちなのが、この工程です。ホームページ制作を会社に依頼することでホームページは完成しますが、それでしたらテンプレートなどのホームページで十分かもしれません。最近はクオリティも高いです。
ですがそれだけでは物足りなく、競合との差別化や、使いやすいデザイン、ユーザーに楽しんでもらうための工夫がしたいからウェブのエキスパートであるホームページ制作会社に依頼をするはずなのです。
ですので、この工程に最も費用の差が出ると言っても過言ではありません。自社で企画したウェブ戦略案を持ち込むだけでしたらこの工程を省いてくれる制作会社を選べば良いと思いますし、戦略から立案して欲しければ制作費用は大きく変わってきます。
どのようなビジネスにおいても最も重要なのは提供するサービスと、それを販売するための戦略です。その部分を依頼するわけですから、当然多くの工数がかかります。そしてその企画を資料にして、お客様にもわかりやすく理解してもらう必要があります。(資料作り、時間かかりますよね…)
2,コンテンツ制作
コンテンツ制作とは、ウェブサイトに表示する写真やイラストやテキストなど視覚的な情報を制作する工程です。コンテンツを制作の工数にも様々な視点で工数について考える必要があります。
コンテンツについて考えなければならないのは、「質」と「量」になります。
「質」について
例えばとある沿革ページで、
とするのか、会社のコンセプトに合わせて作るのか、
http://www.itomic.co.jp/history/
↑給湯器の会社さんですので、写真が水のように揺れます(PC)
とするのではどちらが工数がかかるかは一目瞭然ですよね。また画像一つとっても、素材写真を使うのか、オリジナル写真を使うのか、オリジナルイラストを使うのかによっても変わります。
「量」について
よく制作会社の見積もりで何ページでいくら、というのを見かけることがありますが、あれは単純化してお客様にわかりやすくしているための見積もりだと考えられます。
ですがこういった見積もりには「量」の視点が大きく欠けています。
例えば同じ1ページでも、ランディングページのように縦に長いページの場合では大きく工数が変わるのはご理解いただけるはずです。それはランディングページでなくても同じことで、会社概要のページと、サービスについて説明するページとでは工数が当然変わってきます。
ちなみに弊社の場合、各ページのボリュームによって、それぞれ工数が変わりますので、各ページごとに値段を変えています。その代わりコーディング費用など、お客様にわかりにくい費用の記載を省き理解してもらいやすいような工夫をしています。
1つのページを制作するのに、企画・コンテンツ作成・デザイン・コーディングが必要なのは確定していることですので、そのページを作るのにどれくらいの工数がかかるのかを割り出しお客様に御見積と提示することで、1ページあたりの単価は高く見えてしまうかもしれませんが、どのページにいくらかかっているのかをわかりやすくしています。(このあたりは各社さん頭を悩ましているところではないでしょうか…)
ライティング
テキストの作成にももちろん工数が発生します。文章作成のプロであるライターに依頼すればもちろん費用がかかります。
3,構築
ホームページをデザインしただけでは、ウェブ上でお客様に使ってもらうことはできません。ボタンをクリックできるようにしたり、アニメーションを施したり、管理者が使いやすいようにシステムを構築し、カスタマイズをする必要があります。
またシステムを利用する場合、それを使いこなせるように、誰かが教えてくれなければなりません。レクチャー費用についても考える必要があるでしょう。
ウェブサイトの公開に際しては、「どれくらいチェックをするのか」という工数についても考えなければなりません。仮に1,000ページもの膨大なページが存在するウェブサイトを、全てのブラウザやバージョンでエラーが無いか調べるとすれば、もちろんそれだけ工数がかかります。またスマートフォンも様々なデバイスが登場していますので、それも全てチェックするとなると大変です。
なので構築面については「納品されるホームページの品質がちゃんとしてるか」という部分ですね。
それ以外にもコストが変わる要因
あとは魅力的な実績が豊富な制作会社や、優れたデザイン性を持つ制作会社も人気がありますから(つまり依頼が多く舞い込む)、費用が上がる傾向にあります。
どこまでウェブ制作会社の力を借りる必要があるのか
「戦略立案」の部分でも説明しましたように、自社で競合を分析し、戦略を立案し、コンテンツを企画し、テキストや素材も全て支給し、あとはデザインして構築してくれるだけで良い、ということになればコストは大きく下がります。
一軒家やビルのように目に見えるものだと、「作るのは素人には難しく大変そう」ということが伝わるのですが、ウェブのように工程が目に見えないものですと、工数が想像できないのは仕方のないようなことの気がします。
最近では企業にウェブの担当者の方がインハウスでいらっしゃることも増えてきましたし、自社でどこまでのことは賄えて、どこまでをアウトソーシングしなくてはならないのかを考えた上で、そこをサポートしてくれるような制作会社の中から相見積もりを取ることをオススメします。
(↓そのあたりは別の記事にしています)
ホームページ制作会社の選定に悩んだら、建設会社に置き換えて考えるとわかりやすいかもしれない話 https://wk-partners.co.jp/homepage/blog/attract/selection-of-website-production-company/