ファンマーケティングで既存顧客との関係を深め新規顧客獲得!メリット・デメリット紹介
目次
マーケティングには様々な手法がありますが、「ファンマーケティング」という方法を聞いたことはあるでしょうか。
馴染みのない方には意外に思えるかもしれませんが「ファンマーケティング」は昔から存在しており、最近になって少しずつ浸透してきたマーケティング手法です。
企業において、マーケティングで新規顧客を獲得することは非常に重要ではありますが、日本市場の消費減少などの影響もあり、従来のマーケティング手法だけでは顧客獲得が難しくなってきています。
そこで「ファンマーケティング」により既存顧客との繋がりを深め、さらに既存顧客を起点として新規顧客の獲得を目指す新しいマーケティング手法として期待され始めています。
本記事では、「ファンマーケティング」の基本的な概念から、メリット・デメリットなど実際に利用する上でのコツまでご紹介していきたいと思います。
ファンマーケティングとは
ファンマーケティングとは、既に自社サービスや商品を利用している既存ユーザーに繰り返し商品を利用してもらうことや、既存ユーザーを起点に新規顧客獲得を目指すマーケティング手法を指します。
ファンマーケティングが流行り出した背景とは
ファンマーケティングが注目される背景には、日本の人口減少及び購買意欲低下に伴うマーケティング市場の縮小があります。サービスの価格競争により疲弊する企業が増えており、新規顧客を安定して獲得することが難しくなってきたのです。
一方でSNSの流行に伴い、一部の熱心なファンの方が商品やサービスを自ら広告塔となり広めてくれるようなシーンをよく目にするようになりました。
ファンが勝手にCMしてくれるので広告コストは発生しませんから、この現象を再現できないかと考えた企業がたどり着いたのが「ファンマーケティング」だったわけです。
ファンマーケティングの目的は大きく2つ
ファンマーケティングの目的としては、「固定ファンの獲得」「コミュニティの形成」の大きく2つが挙げられます。
固定ファンの獲得
上述しているように、現代においては新規顧客の獲得がますます難しくなっているのが実情です。
一方で、自分の気に入った商品やサービスには惜しまずお金を使ってくれるユーザーが増えています。
従来のように、テレビなどを通して広く情報を受信する世の中から、現代ではインターネットで自分の好きなモノだけを追い求めるスタイルに人々の生活が移行しています。
一度商品を購入したユーザーが、何度も購入したくなるような商品を作り、また積極的にユーザーとのコミュニケーションを取ることで企業や商品の「ファン」を増やすことがマーケティングにおいても重要になってきています。
コミュニティの形成
ファンマーケティングの重要な目的の1つとして、コミュニティの形成も挙げられます。
熱心なファンというのは、自分の周りにも商品やサービスを紹介してくれる傾向にあり、企業が本来しなければならない広告作業を熱心なファンが知らぬ間に代理してくれる状況が生まれます。
熱心なファンの場合、周りの人々も見ず知らずの人に勧められるより信頼性が高いと判断し、購買に繋がるケースも珍しくないという特徴があります。
また、コミュニティ内で挙げられた意見は、実際にサービスを利用したユーザーからの生の意見となり、改善すべき点や伸ばすべき長所を見つける良い判断材料ともなります。
ファンマーケティングにおけるメリット・デメリット
次にファンマーケティングにおけるメリット・デメリットを確認していきましょう。
ファンマーケティングには、ぜひ活用したいメリットもある一方で、デメリットとなることも少なからず存在します。
ファンマーケティングのメリット
ファンマーケティングのメリットを大きく3つご紹介していきたいと思います。
継続顧客の獲得
まずファンマーケティングが成功すると、既存顧客との結びつきが強くなり、継続的に商品を購入してくれるようになるため売上の安定に繋がります。
新規顧客を獲得することも重要ですが、リピーターの存在も企業の売り上げアップには欠かせません。
ヘビーユーザーによる売り上げ拡大
様々な商品やサービスで言えることですが、実は売上のほとんどが一部の熱心なファンによって支えられていることをご存知でしょうか?
割合については諸説ありますが、売上全体のうち約8割は一部の熱心なファンに支えられている企業が多いというのが実情のようです。
ファンマーケティングでは、熱心なファンに、より多くの商品を購入してもらえるようアプローチを掛けることで、企業としての売り上げ拡大を狙うことが可能となります。
企業のマーケティングでは獲得出来ない新規層の獲得
企業では一般的にマーケティングというと、商品やサービスを知らない幅広いユーザーに向けて認知してもらう一方通行の広告活動がメインとなります。
実際の性能や内容については、認知してもらったユーザーの中から更に興味を持った相手にだけ確認してもらえることになります。
一方で、ファンマーケティングでファンを獲得しておくと、既に企業のサービスを利用しているユーザーから友達や家族・会社内の人達に対して、直接詳しいサービス内容を示しながら商品がおすすめされる可能性が高まります。
知人からの紹介で、サービスに興味を持ってもらえる可能性も高くなり、購買に繋がる確率も大きくなります。
ファンマーケティングのデメリット
次に、ファンマーケティングのデメリットについて確認していきましょう。
新規顧客獲得に特化したマーケティングのような爆発的な拡散は見込めない
新規顧客獲得に特化したマーケティングの場合、うまく広告が成功すれば爆発的な新規顧客の流入が起こることもあり得ます。
一方で、ファンマーケティングの場合、あくまで既存顧客へのアプローチとなり、新規顧客は既存顧客からの紹介に頼ることになるため、狙えるターゲット層は狭まってしまうのが事実です。
大量の新規顧客獲得を狙ったマーケティングを実施するには適さないマーケティング手法と言えます。
ファンミーティングを実施した成果が分かりにくい
ファンマーケティングが企業で長続きしない理由として、実施した成果が分かりにくいという点が挙げられます。
新規顧客獲得の場合には、単純に以前よりどれだけ利用してくれるユーザーが増えたかを確認すれば良かったのですが、ファンマーケティングでは既存顧客が対象となるため、売り上げアップに繋がったのかどうかが分かりにくいといったデメリットがあります。
既にサービスを利用しているユーザーなのだから何もしなくても再度利用してくれるだろうと言った意見も出てくるため、きちんと売り上げが上がっていることを説明出来ないと打ち切りとなる企業も多いようです。
ファンマーケティングのやり方とは
ファンマーケティングのやり方は様々ですが、共通して言えることは既存ファンによりサービスや商品を好きになってもらうために、より密接に関わることが重要になってきます。
ファンマーケティングでは交流を積極的に行うことが大事
ファンマーケティングでは、既存顧客との交流を積極的に行うことがまず重要なポイントとなります。
顧客からの動きを待つのではなく、企業から様々なイベントや既存ユーザーへの優待制度など、興味を持ってもらえるようなサービスを提供することから始めてみてください。
頻繁にサービスを認識してもらうことで、単純接触効果により、顧客の好意度や印象が高まることが期待出来ます。
予算や時間をなるべく掛けず小さく始めるのがコツ
ファンマーケティングを行う上で、いきなり大きなイベントを開くことや、ビッグセールを開催するような必要は必ずしもありません。
例えば、InstagramやTwitterといったSNSを通して商品情報を流すことや、既存ユーザーにはLINEグループへ招待してお得な情報を提供するなど、お金を掛けなくても出来ることはたくさんあります。
多額の費用を掛けて失敗してしまえばダメージも大きいため、失敗してもすぐに軌道修正出来るように小さく始めるのがコツとなります。
最終的にはファンだけで運営されるようなコミュニティ作成を目指す
ファンマーケティングでは最終的にファンの間だけで運営されるようなコミュニティにまで育つことが理想となります。
熱心なファンの中には、商品やサービスについて語り合う仲間が欲しい、より多くの人に広めたいといった欲求を持っている方も多くいらっしゃいます。
企業としてもファンの間だけでコミュニティがうまく周るようになれば、広告に割く時間や費用を節約出来るだけでなく、最重要顧客からの評価を直接入手することが出来るようになるため、企業にとって非常に大きなメリットとなります。
ファンマーケティングの事例を確認しよう
実際にファンマーケティングを実施している事例についてもご紹介していきましょう。
「mineo」と「宝塚歌劇団」の事例をご紹介しますが、どちらも成功している例となりますので、ぜひ企業で導入する際の参考にしてみてください。
mineoのファンマーケティング「Fun with Fans!」
mineoでは「Fun with Fans!」というコミュニティを形成しており、ユーザーを「同志」として捉え「共創」というテーマの元、運営されています。
mineoが運営する巨大コミュニティ「マイネ王」では契約者の半分が参加しているとされ、掲示板では月100件以上のアイデアが寄せられるなど活発な交流が繰り広げられています。
mineoではコミュニティから得た情報を取り入れ、新商品開発に取り組み、広告方法を柔軟に変更するなど実施した結果、解約率の低下および紹介制度での新規顧客獲得率が飛躍的に伸びたようです。
宝塚歌劇団のターゲットを明確にしたファンマーケティング
宝塚歌劇団では、ターゲットとするファンを明確化し、特定のファンが求めるサービスに注力した結果、大成功を収めており、ファンマーケティングの先駆け的な手法と考えられています。
宝塚歌劇団では「トップスター」と呼ばれる役者が存在し、トップスターとしての期間をあらかじめ定めることにより希少価値を持たせています。
一方で、現在のトップスターが退任した後には後続のトップスターに引き継がれていき、一代で終わるのではなく、継続してファンの方に宝塚歌劇団を応援したくなるような仕組みが組み込まれています。
同時に、公式ファンクラブとしてコミュニティを形成し、ファンクラブ会員限定の交流会や特別公演を行うなどして熱心なファンを増やすことにも成功しました。
宝塚歌劇団のファン層としては、金銭的に余裕のある女性がターゲットとなっており、新規顧客においてもファンの繋がりから獲得する部分が大半です。
そのため、金銭的に裕福な知人や自分の娘などが新規ファンとして加わることで、売り上げ増加・何世代にも渡るファン獲得に成功しています。
さいごに:ファンマーケティングを活用してブランド力を強化しよう
本記事では、ファンマーケティングとは何か?についてメリット・デメリットや事例を交えながらご紹介してきました。
ファンマーケティングに成功すると、企業としてのブランド力強化に繋がり、信頼と実績を得ることが可能になります。
マーケティングといえば、まだサービスを利用したことがないユーザーに視線が向かいがちですが、既存顧客との関係を深めることで、新規顧客獲得にも繋がることを理解すると、より大きな売り上げに繋げることも可能となるでしょう。