「巻き込み」と「オーナーシップ」とは?対面営業のテクニックをWebで再現!
目次
どうも、ウェブ企画パートナーズの竹内です。
今回のテーマ:「巻き込み」と「オーナーシップ」
今回は、「巻き込み」と「オーナーシップ」というテーマについて、じっくり解説していきたいと思います。営業の手法をよく勉強されている方でしたら、「ああ、あのことね」と、すぐにお分かりになるかもしれませんね。
「巻き込み」とは何か?実演販売を例に考えてみる
これがどういうものかと言いますと、例えば、東急ハンズのような雑貨屋さんに行ったときのことを思い浮かべてみてください。時々、包丁などの実演販売をしていますよね。その販売員の方が、ただ一方的に商品の説明をするのではなく、途中でご覧になっているお客様に「ちょっと試してみませんか?」と声をかけて、実際に商品を体験してもらうことがあります。
あれこそが、まさに「巻き込み」なんです。お客様を単なる観客から、いわば「共演者」へと変えることで、商品を自分事として考えてもらうのです。例えば、包丁の実演であれば、実際に使ってもらうことで「なるほど、こういう課題があるのか」と一緒に考えてもらい、その切れ味を体験してもらう。そうすると、「うちの包丁は刃こぼれしやすいから、次は刃こぼれしない包丁を探さなきゃいけないな」というように、お客様の中に主体性が芽生えるわけです。
Webサイトで「巻き込み」をどう実現するか
このような営業手法は、対面であれば多くの営業マンがすでに取り入れています。お客様に「自分事」として捉えてもらうためのトークは、様々な場面で展開されていますよね。
そこで今回のテーマは、「この『巻き込み』をWebサイトでも使えないだろうか?」というものです。もちろん、対面での営業と違って、Webサイトは双方向のやり取りが基本ではありません。ですから、どうしても実現しにくい部分はあります。しかし、決して出来ないことではないんです。今回は、その具体的な手法について解説していきたいと思います。
「巻き込み」から「オーナーシップ」へ
では、改めて「巻き込みとオーナーシップ」という言葉について、もう少し詳しく解説しておきましょう。
「巻き込み」というのは、あくまでプロセスです。そして、その巻き込みのプロセスを経て、お客様に「オーナーシップ」の状態になってもらうこと、これが最終的な狙いとなります。
先ほどの店頭販売の例で言うと、ただ包丁の実演販売をぼんやり見ているだけの「観客」の状態から、「お客様も体験してみませんか?」と声をかける。これが「巻き込み」です。そうすることで、お客様は自ら「あ、うちの包丁にはこういう問題があったんだ」と発見することができる。お客様が能動的に動けるようにすること、それが「オーナーシップ」という状態なんです。
ホームページでオーナーシップを育む具体的な仕掛け
では、具体的にホームページでどうやってお客様を巻き込んでいくのか。その手法をいくつかご紹介します。
まずはお客様に「考えさせる」こと
まず何よりも重要なのは、お客様に「考えさせる」ことです。ただ文章を読んでもらうだけでは、なかなか能動的に考えてもらうのは難しい。そこで、例えばこんな仕掛けが考えられます。
一つ目は「料金シミュレーター」です。自社のサービスや製品を導入した場合、実際にどれぐらいコストが削減できるのか。そういったことをお客様自身にシミュレーションしてもらうことで、「うちの会社の場合だと、これだけ得するのか」という体験をしてもらうことができます。
他にも、バックオフィス業務を支援するようなサービスであれば、「診断コンテンツ」も非常に有効ですね。「あなたの会社のバックオフィスの状態は、100点満点中80点ですよ」というように診断結果を出すことで、お客様は自分たちの現状を客観的に把握できます。
もう一つ、「チェックリスト」も良い手法です。例えば、「あなたの会社のDX化は今、何点ですか?5個以上当てはまった方は、DXをもっと改善できるかもしれません」といった形で、お客様自身にチェックしてもらう。
このように、料金シミュレーター、診断、チェックリストといった、お客様が能動的に動ける、体験できる何かをサイト上に用意することが、巻き込みの第一ステップになります。
「自分ごと化」を加速させる導入事例の作り方
これらの体験を経て、お客様の中に課題が表面化してきたら、次に見てもらうべきは「導入事例」です。
ただ、「うちの製品を導入したA社は、コストを30%改善しました」といった事実を淡々と書くだけでは不十分です。よりお客様に自分ごと化してもらうためには、物語風に書くことをお勧めします。
例えば、製品導入にあたって「現場からの反対があった」「予算の壁があった」といった障害があったとします。その会社の担当者は、その壁をどうやって乗り越え、製品導入にこぎつけ、最終的に現場から喜びの声が上がったのか。
そういったストーリーを一緒に紹介することで、読んだ人は疑似体験をすることができます。例えば、先ほどのDXのチェックリストで「うちの会社はDXがまずい状態だ」と気づいたお客様がいたとしましょう。そのお客様も、社内で「コンピューターを使うなんて難しいよ」という現場の反対や、「DXに割ける予算はない」という上層部からの声に直面しているかもしれません。
そんな時に、「うちの製品なら、予算を抑えて導入でき、さらに現場で使いやすくなるためのサポートも充実しています」といったストーリーを読むことで、「これならうちでも説得できるかもしれない」と感じてもらえるわけです。そして、実際に導入したら人件費を大幅に削減でき、社員の給与がアップした、といった成功体験をストーリーとして読ませることができれば、巻き込みのプロセスは少しずつ完成に近づいていきます。
オーナーシップが芽生えたお客様への次の一手
ここまで来れば、お客様の中には「この課題を解決するために、自分が会社のために動かなければならない」というオーナーシップの状態が芽生え始めています。
そうなった時に用意しておくべきなのが、「資料請求」のコンテンツです。ただの製品カタログではなく、例えば「社内説明にそのまま使える企画書テンプレート」のような資料が効果的です。なぜなら、このステップまで進んだお客様は、「社内で説明して、導入を推進しよう」という気持ちになっているからです。
あるいは、診断コンテンツや料金シミュレーターの結果を、そのままレポートとしてダウンロードできるようにするのも良いでしょう。自分ごと化してくれた人が、今度は社内の人々を巻き込んでいくために必要な武器を用意してあげるのです。
さらなるゴールを用意する
社内を説得する段階になると、「こういうところが心配なんじゃないか」といった、さらに具体的な疑問や不安の声が出てくるはずです。
そういった方々のために、最終的なゴールとして「オンラインセミナー」や「個別相談会」を用意しておくと良いでしょう。
まとめ:小さなことからでも始められる「巻き込み」
今回ご紹介した「巻き込み」と「オーナーシップ」は、古くから使われている非常に効果的な営業の手法です。料金シミュレーターや導入事例で「巻き込み」を行い、オーナーシップが芽生えた状態で資料請求やセミナーに参加してもらう。こういった一連の流れは、実はホームページでも十分に実現可能なのです。
もちろん、今回ご紹介したような複雑なプロセスを組むことができれば最高ですが、もっとも簡単に始められる「巻き込み」もあります。それはキャッチコピーです。
製品の優れた性能だけをトップページに載せるのではなく、あたかも自分がその製品を体験したらどうなるか、という物語が思い浮かぶようなキャッチコピーにしてみる。そういった小さなことからでも、実は始められるんです。
ただし、この方法はキャッチコピーのクオリティに大きく依存してしまうため、作業的には簡単でも、難易度的には実は高い、という側面もあります。
ですから今回は、比較的誰でも取り組みやすい、「仕掛け」によってお客様を巻き込み、オーナーシップを持ってもらうという方法の一つをご紹介させていただきました。
業種や製品、サービスによって、巻き込み方や、オーナーシップを持ってくださったお客様に対して提供できることは変わってくると思います。ぜひ、ご自身の業界に当てはめて、考えてみていただければと思います。
もし、今までそこまで考えてホームページを作っていなかったという方は、これを機会に見直してみてはいかがでしょうか。