
トピッククラスター
目次
どうも、ウェブ企画パートナーズの竹内です。
今回は「トピッククラスター」について解説していきたいと思います。これはSEO関連で使われる考え方のことなんですね。
コラムを書き続けても成果が出ない…その悩み、ありませんか?
この記事を読んでいる方の中には、SEOに真剣に取り組んでいて、いわゆるオウンドメディアでコラムをたくさん更新している方も多いのではないでしょうか。「コラムをたくさん書けばアクセス数が集まるし、潜在顧客にもアプローチできる」というマーケティング手法が数年前から流行しています。
ただ、そういったコラムを一生懸命更新していると、とある悩みにぶち当たるんです。それが何かと言うと、気づかないうちに同じような内容の記事を2度書いてしまったり、「毎回大きなテーマは一緒だけど、次は何を書けばいいんだろう…」とネタ切れに陥ってしまったりすることです。
「この記事を読んだ人には、次はこの内容を読んでもらいたいな」と考えても、サイトの構造がバラバラだと、うまくユーザーを誘導できません。そんな悩みを解決する次のステップとして有効なのが、今回お話しするトピッククラスターという考え方なんです。
SEOの次の一手「トピッククラスター」とは?
では、トピッククラスターがそもそも何なのか、というところを解説しますね。
一言で言うと、とある分野で網羅的なコンテンツを制作する手法のことをトピッククラスターと言います。
例えば、ある美容院がオウンドメディアで「今流行りのショートカットの髪型20選」のような記事をたくさん書いているとします。最初は良くても、だんだん記事が乱雑になってきて「困ったぞ」となるわけです。
そんな中で、「セルフカット」というテーマでトピッククラスターを作るとしたらどうなるでしょうか。まず「セルフカット」という中心テーマを1つ決めます。そして、そのテーマに関連する様々な内容、例えば「ハサミの選び方」「鏡の使い方」「カットする時の注意点」といった、より細かいテーマの記事を作っていきます。
これらをバラバラの記事として公開するのではなく、1つの幹となるページから各テーマ(子ページ)へ分岐するように、内部リンクで繋いでいくのです。もちろん、子ページ同士も相互に行き来できるようにします。
こうすることで、セルフカットをしたい初心者がサイトを訪れた時に、まず幹となるページを見れば全体像がわかり、自分が知りたい情報や躓きそうな部分だけを選んで読むことができます。ユーザーが必要な情報を体系的に学習できる、この一塊のコンテンツ群が「トピッククラスター」です。
幹となる「ピラーページ」と枝葉の「クラスターページ」
トピッククラスターを構成する要素には、専門的な呼び方があります。
木で例えると分かりやすいのですが、中心となる幹の部分のページを「ピラーページ」と言います。そして、そこから枝分かれするように存在する各コンテンツ(子ページ)のことを「クラスターページ」と言います。
ですから、トピッククラスターを作る時は、まずテーマの中心となるピラーページを作り、そこからクラスターページを増やしていく、という流れになります。
なぜトピッククラスターはSEOに効果的なのか?
なぜこのようなコンテンツの作り方をすると、SEOに良い影響があるのでしょうか。理由は大きく3つあります。
Googleのロボット(クローラー)にサイト構造を伝えやすくする
ユーザーがピラーページにたどり着けば、そのテーマについて網羅的に学べるというメリットは、検索エンジンであるGoogleにとっても同じです。
Googleは「クローラー」というロボットをウェブサイトに巡回させて情報を収集していますが、トピッククラスターの構造は、このクローラーにとっても非常に分かりやすいんです。ピラーページからリンクを辿って各クラスターページを横断的に見ることで、「なるほど、このコンテンツ群はセルフカットについてまとめられた専門的なページなんだな」と、サイトの情報を効果的に、そして正確にGoogleへ伝えることができます。
「専門性の高さ」がGoogleからの評価を高める
Googleは、特定の分野における専門性の高いページを評価しやすい傾向にあります。トピッククラスターによって「このサイトはセルフカットの専門サイトだ」と認識してもらえると、評価が上がりやすくなります。
さらに、網羅的にコンテンツが整理されていることで、ユーザーが検索しそうなキーワードが自然と散りばめられるため、様々な検索クエリに対応できるようになり、これも評価向上に繋がります。
コンテンツ制作者側のメリットとは?
これは作る側の視点ですが、最初に「セルフカット」というピラーページの設計図が出来上がっているので、バラバラに記事を作るよりも網羅的に、そして計画的にコンテンツを制作しやすくなります。「あの記事、作るのを忘れていたな」「ハサミの選び方の記事って、もう書いたっけ?」といった混乱を防ぎ、効率的に質の高いコンテンツを作っていけるというメリットがあります。
実践!トピッククラスターの作り方
では、実際にトピッククラスターを作る時はどうすればいいでしょうか。
すでに多くのコラム記事がある場合は、「これらの記事は、まとめて一つのテーマにできそうだな」というグループを探すのが一つの手段です。
テーマは「広すぎず、絞りすぎず」がコツ
どんなビジネスであっても、ある程度絞ったテーマでやる、というのが成功のコツです。
例えば、金属加工の会社が「加工全般」というあまりに大きいテーマで始めてしまうと、結局これまでのコラムと同じような状態になってしまいます。そうではなく、「金属の重さの考え方」「精密な計量の方法」のように、テーマを絞って企画を考えるのがポイントになります。
成功事例に学ぶ:キーエンスの戦略
トピッククラスターを上手に活用している企業の事例として、よくお話しするのがキーエンスさんです。営業がすごいことで有名な会社ですが、実はSEOも相当すごいんです。
キーエンスの公式サイトの下部には「ものづくりお役立ち情報」というコンテンツ群があります。ここには例えば「測り隊.com」や「顕微鏡観察ラボ」といった、テーマごとに独立したサイトのようなページがずらっと並んでいるのですが、これ一つ一つが、すべてトピッククラスターになっています。

例えば「測り隊.com」は計測や測定に関する知識が網羅的にまとめられており、初心者がこのサイトを訪れれば、測定に関する知識が体系的に学べるようになっています。そして、その情報に触れたユーザーが「測定のことならキーエンスに相談してみよう」と、お問い合わせに繋がるという、非常に効果的な仕組みを構築しているのです。
トピッククラスターを導入する上での3つの注意点
ここまでで、トピッククラスターがどういうものか分かってきたかと思います。最後に、導入する上での注意点を3つほどお伝えします。
注意点1:内部リンクをしっかりと貼る
まず最も重要なのが、内部リンクをしっかりと貼ることです。
先ほどお話しした通り、Googleのクローラーはリンクを辿ってサイトを評価します。リンクが途切れていると、Googleに情報が正しく伝わらないだけでなく、単純にユーザーも使いにくくなってしまいます。ピラーページとクラスターページ、そしてクラスターページ同士を適切にリンクで繋ぎ、サイト全体をユーザーが回遊しやすい状態にしてあげることが重要です。
注意点2:まずは小さくスタートする
あまり壮大にやりすぎると、結局挫折してしまい、最初のコラム状態に戻ってしまいます。テーマはある程度絞り、まずは3〜5記事くらいの小さなまとめから始めてみるのがおすすめです。小さく始めて成果を見ながら、継続して拡大していくという考え方が大切です。
注意点3:既存記事の整理より「新しく始める」
すでにコラムにたくさんの記事があると、「この記事はこっちのテーマ、この記事はあっちのテーマ…」と既存記事を振り分ける作業から始めたくなりますが、これは非常に大変で、挫折の原因になりがちです。
ですから、既存の記事は一旦置いておいて、まずは全く新しくトピッククラスターを1個作ってみることをお勧めします。その過程で、既存記事と内容が被るものが出てきたら、その時に記事の移行を検討したり、「301リダイレクト」という古いページから新しいページへ自動転送する設定をしたりすれば良いのです。
まとめ:これからのコンテンツ制作とトピッククラスター
以上、トピッククラスターについての解説でした。
言われてみれば、ユーザーが使いやすいサイトにするために、テーマを設けてコンテンツを整理するのは当たり前のことかもしれません。しかし、日々「コラムを頑張って更新するぞ!」という思考になっていると、なかなかこの視点に気づけないこともあるかと思います。
ChatGPTなどのAIも積極的に活用しよう
今だとChatGPTのような生成AIも進化していますので、「自社の場合、どんなトピッククラスターを作ったらいいかな?」とAIに聞いてみるのも良いでしょう。ピラーページに対してどのようなクラスターページを作ればいいか、ある程度の構成案を出してくれます。
もちろん、実際のデータに基づいてより戦略的に進めたい場合は、SEOツールやキーワードツールを使って関連キーワードを洗い出していく作業からスタートするのが良いでしょう。
改めて、このトピッククラスターという考え方を、ぜひ今後のコンテンツ制作に活かしてみてください。