今回はクエリファンアウトを深掘りします

これまでの記事でも、「こういうのをクエリファンアウトと言うんだよ」という説明はしてきました。

ただ、ふんわりとしか伝わっていなかったかなと思うので、今回はクエリファンアウトを深掘りして解説していきたいと思います。

クエリファンアウトとは?

1個質問すると、AIは裏でたくさん検索している

AIは裏でたくさん検索している

まず、クエリファンアウトの単純な意味からです。

クエリファンアウトというのは、1個何かを質問すると、AIはその裏でたくさんの検索をかけている、ということです。

「この辺りでおすすめのお寿司屋さんは?」の裏側

例えば、「この辺りでおすすめのお寿司屋さんは?」と質問したとします。

そうするとAIは、裏側で価格比較をしたり、「記念日におすすめのお寿司屋さん」「会食におすすめのお寿司屋さん」「個室のあるお寿司屋さん」といった、いろんなキーワードで調べて、あなたに最適なものを出しているわけです。

いろんなキーワードで調べて

その仕組みをクエリファンアウトといいます。

「クエリ」は質問という意味

言葉の意味も見ておきましょう。

クエリ=質問という意味です。だから先ほど言ったように、1個質問すると裏側でいろいろ検索をかけているよ、という話になります。

「ファンアウト」は扇状に広げるという意味

では、ファンアウトというのは何かというと、扇ですね。

扇状に広げるよという意味です。扇というのは、野球場みたいな形ですよね。

つまり、1個の質問をしたときに、AIが裏側で深掘りの検索をかけているという意味で、クエリファンアウトという言葉が出てきたわけです。

Googleが言い出した言葉だそうです

このクエリファンアウトという言葉は、Googleが言い出したらしいです。

AI時代に覚えておかないといけない、特にマーケターにとっては覚えておいてほしいキーワードの1つになっています。

クエリファンアウトの具体例

「おすすめの給与計算ソフトは何か?」で考えてみる

さっき簡単に説明したんですけれども、具体的にどういうことか、もう少し見ていきましょう。

企業だったら、「おすすめの給与計算ソフトは何か?」と聞いたとします。

価格帯・法令遵守・プライバシーまで調べている

そうしたら、裏側ではいろんな有名製品を調べたり、あとは価格比較ですね。

「3,000円ぐらいで探したい」という質問もあるかもしれないから、高価格帯だったらこれだし、低価格帯だったらこれだし、といった検索もかけていたりします。

あとは法令遵守対応。きちんと日本国内の法令を遵守しているかどうか。プライバシーに優れているのはどれか。

そういう感じで、どんどん質問を広げていくわけです。

個人の例:「冬の北海道に行きたい」

企業の例だとちょっと分かりにくいので、個人に置き換えて考えると分かりやすいと思います。

例えば、「冬の北海道に行きたい」となったとします。

そうするとAIは、冬の北海道の天気とか、泊まるエリアはどこかとか、あとは移動の手段、有名な北海道のスポットを検索したりします。

納得できる答えが出てくる理由

このように、質問にまつわることから考えられることを、裏側で検索をかけているんです。

最適な答えをいつも導き出してくれるのは、たくさんの検索を裏側でかけているから。クエリファンアウトという機能によって、「なるほどな」という回答が導き出されているわけですね。

答えになるまでの4つのステップ

回答が出てくるまでの流れを見てみましょう

では次に、クエリファンアウトをやったあと、実際に回答が出てくるまでにどういうステップを踏んでいるのかを解説していきます。

ステップ1:ファンアウト(いろんな検索をかける)

まず1つはファンアウトですね。クエリファンアウトで、いろんな検索をかける。

ファンアウト

ステップ2:段落を取得してくる

次が重要なんですけれども、検索をかけた中から、段落を取得してくるんです。

これも別の記事で解説しましたが、AIはページごとに評価しなくて、段落ごとに持っていくという特徴があります。

検索をかけていろんなWebサイトを見るんですけれども、長いページがあったら、その一部を取って参考材料にする。一部を取って、役立つ文節を集めるという作業をするわけです。

一部を取って、役立つ文節を集めるという作業をする

「10年かけたコンテンツから引用されるのは60個」

どこかのマーケターの人が言っていたんですけれども、10年かけたコンテンツからAIが引用するのは60個だと。

そういう悲しみの言葉が入っていたりしましたが、そんな感じで、一部分だけをたくさん集めて回答の準備をしてくるわけです。

ステップ3:合成(集めた段落を組み立てる)

ステップ3は合成です。

いろんな段落を持ってきて、それを組み立てる。ここで、いろんなパーツをいろんなサイトから集めてきます。

Aというサイトはここのパーツだけ取るし、Bというサイトの長いページのここだけ取るとか。こっちには天気の情報が載っていたり、こっちには比較表が載っていたら比較表を取ってくる。

そんな感じで情報を組み合わせて、綺麗に整えるわけです。

合成

ステップ4:パーソナライズ(見落としがちな最後の一手)

そして最後、4つ目です。ここまででも、まだ回答は出ません。

ステップ3までは想像がつきそうですよね。でも最後に、見落としがちな1つのステップを挟むんです。

答えは、パーソナライズです。

過去のやり取りから「この人はどういう人か」を把握している

要は、過去のチャットのやり取りなどから、AIは「この人はどういう人だ」というのを分かっていたりするんです。

だから、「この人は東京に住んでいるんだな」と。例えば北海道の旅行でも、東京に住んでいる前提で組み立てるわけです。

という感じで、検索 → 段落取得 → 合成 → 個人の情報を加味して回答を出す。こういう作業をしております。

パーソナライズ

AIの回答は検索順位だけでは決まらない

Googleで1位でも、AIでは選ばれない

これは別の記事でも解説しましたが、たとえGoogleで1位だったとしても、AIはパーツを取ってきて個人向けに出すわけです。

給与計算ソフトで1位なのに、AIで選ばれない理由

例えば、自分が給与計算ソフト会社の社長をしていたとします。

「給与計算ソフトで1位になっているのに、AIで全然選ばれないじゃないか」と言われることがある。それは、クエリファンアウトの裏側で、いろんな文脈で1位を取っていないからなんです。

1個だけ1位を取っても、あんまり意味がないんですね。

検索に強くても、AIに強いとは限らない

検索が強くても、AIに強いとは限らない。これは実は、クエリファンアウトにサイトが対応できているかが重要だということなんです。

「意味がない」というのは、Googleで1位でもAIでは選ばれない、ということですね。

検索に強くても、AIに強いとは限らない

AIによって分解の仕方が違う

さっきまではGoogleを前提に話していました

ここまでは、Googleを前提に話していました。

でも、いろんなAIがありますよね。ChatGPT、Claudeなど、有名なAIツールがたくさんあります。

そして、AIツールによってやり方は変わってきます。

Geminiはひたすら検索をかける

GoogleのAIはGeminiですけれども、Googleの検索でクエリファンアウトをたくさん行うわけです。

ChatGPTは「信頼のおけるサイトリスト」を持っている

これも別の記事で話したかもしれませんが、ChatGPTなどだと、検索をかける以外にも、特定のサイト、信頼のおけるサイトリストを持っているんです。

そして、そこの中から検索をかけるということもしています。

交通事故や税金の質問では、公式機関を先に見に行く

例えば、交通事故に遭ってしまったときに、「日本の法律だと、どっちが悪いですか」と聞いてみたくなりますよね。

そうすると、日本の法律として公式な機関がWebサイトに載せているものがあると思うので、まずそこから検索をかけに行くみたいなことをしそうです。

税金のことなども、国のホームページに最新の税金の情報が載っているだろうから、いきなり国のホームページに検索をかけに行く。

Googleとの違いは「安心リスト」を持っていること

Googleと違うのは、検索だけじゃなくて、特定の安心リストみたいなものを持っているので、そこに検索をかけに行く行動をしているというところです。

すべてのAIが同じではない

このように、AIによっても、クエリファンアウトで実際にどんな感じでたくさん検索をかけているかは違います。

全部のAIが一緒じゃないよというのは、覚えておく必要があります。

言われてみれば、AIは全部違う会社ですし、仕組みが違うのは当然かなと思うんですけれども、全部1個のように思いがちだったりしますよね。

すべてのAIが同じではない

クエリファンアウトへの対策

自社のWebサイトではどうしたらいいのか

最後です。それを踏まえて、自社のWebサイトでどうしたらいいか。

これも、もう答えとしては言いましたよね。扇形にいろいろ質問していくのだから、その質問全部をカバーする。これが正解です。

むちゃくちゃ大変なんですけれども。

救いは「記事全体をやらなくていい」こと

ただ、ここで救いがあります。記事全体をやらなくていいんです。

そうなんです。AIは段落ごとしか持っていかないから、段落ごとの品質を上げる。

ページをたくさん作れという意味ではありません

これは、ページをたくさん作れよという意味ではありません。

いろんな段落、引用されるに値する段落。その1個のパワーを上げていく、ということです。

これが、AI時代にクエリファンアウトに対応するために、Webサイトでできることになります。

AIに引用されるための段落の作り方については、別で詳しく解説していますので、あわせて参考にしてみてください。

まとめ

クエリファンアウトの中身が見えたら対策しやすいのですが

というわけで今回は、クエリファンアウトについて、これまでさらっと喋るだけで詳しく解説していなかったなと思い、改めて解説してみました。

クエリファンアウトの中身をすべて見せてもらえれば、もっとやりやすいですよね。本当にそう思います。私も見たいです。

このクエリファンアウトで、具体的に何のキーワードで検索しているかが見えるデータがあったら、すごく頑張って対策できそうですよね。

そこは企業秘密なので、おそらく公開されない

でも今のところは、そこが企業秘密だったりするだろうと思います。

AIの品質に差が出るポイントかなという気がするので、多分公開はしていないんですよね。

マーケターは予測して対策を立てる時代

でもマーケターとしては、ある程度予測して対策を立てる。そういう時代になってきたということですね。

おわりに

今後もこういったAI時代のマーケティングだったり、Webマーケティング全般の情報を普段から発信しております。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。